Main Index >> Media Index >> Hail to the Thief Media | Japanese Media | 2003 Interviews
Radiohead



デモを入れた00を作った後は、ほとんど何も感じなくなった。もうあまり興味がなかったんだ。 それに対して、どんな種類の感情も持てなかった、って言うのかな。僕らが、まだキッズだった頃、 僕はホン卜にそういう感じだったんだけど。曲を書くだけで、後から評価なんてしなかった。 だから、僕がやったのは、それ。頑張らなかったし、トライしなかったし。実際、怠けてたな 所まで歩いてきた。1時間前まではノアと悪戦苦闘して I、たが、今は緑が美しし'/《ブの庭で仕事をこなしている。 そこへちようど、アメリカ人の若いファンが二人、『ベン ズ』を手に近づいてきた。彼はもう、オックスフォード の遺産の一部なのだ一大学とクリーム.ティー(クリ ームを乗せたパンケーキが出される午後4時のお茶)、モ ース警部、そして、レディオヘッドの怒れる男。「グラス トンべリーには入れてあげられないよ」と、彼はファン をからかって、アルバムにサインをする。後の話の中で、 彼は「ベンズ』も、他のレディオヘッドのアルバムもニ 度と聴き直したりはしない、と語った。そうすると吐き 気がするんだ、と言って。 34歳の今でも、ヨークは十分、クールで無頓着な学生 として通用するだろう。バギーなジーンズにスニーカー、 ストーンウォッシュのジャケッ卜に袖のボタンが取れた 白のシャツ。アクセサリ一として大きなオレンジ色のサ ングラスをかけているが、そのせいで彼の内面をうかが うのが難しい。と同時に、彼がこちらの質問の意図を読 み取ろうとしているのがわかる。近くで見ると、細かい ところには年齢が現れている。無精髭にぽつぽつと白い ものが混じっているのだ。そして、爪を嗤んだ跡と膝の 貧乏揺すりから、彼の不安が伝わってくる。 ファンにとって、トム.ヨークは自分達の代表、全権 大使だ。そして、ジャーナリストに対して、彼のムード は完全に右から左まで、一通りすベて起動する。先週、 偶然会った時、彼はイージーで楽しい男だった。が、今 日は打ち解けるための普通のテクニックは一軽い雑談 をしても、オリーブの鉢を勧めても、木陰に腰を下ろし ても(「ほくろに気を付けなきやいけないんだ」と彼は言 う)一まるで効果を発揮しない。彼は内気でとっつき にくく、私の"アングル”、つまり、インタヴューの意図 がX線検査にかけられていることが即座に感じられる。 ジエノヴァ協定を読み上げだすか、弁護士に電話をかけ ると要求し始めるのではないか、という気にさえなる。 そう、彼は『キッド八』,『アムニージアック』のセ ッシヨンが辛く大変だった、という前提を受け入れよう とはしない。伝統的なバンド,アブローチを放棄するこ とで、レディオへッドはロックのパラダイムから抜け出 した、とも認めない。『ヘイル.トウ,ザ.シーフ』が、 部分的にでも“曲”や従来の楽器に回帰したアルバムだ という仮説は確実に拒否する。自然なレコ一ディングが、 バンドをよりハッピーなコミュニティにした、という事 実も。「そりやちよっとメチャクチャっていうか、顔とケ ツが逆じやないかな……これ、妙な言い回しだね」と、 彼はロを切る。「いきなり作業を始めるっていうよりは、 曲を温める時間があったには、あったよ。でも、それっ て、他のメンバーに以前より余地を与える、ってことじ やなかったし。だってそう言うと、言外に僕がデ力いブ 一ツを屐いて我がまま顔でドカド力歩いてた一って意 味になるじやん?僕はそういうことはしてなかったし。 なんで?僕、君のアングルを台なしにしちゃった?」。 この最後の一言は、ちょっとした毒を含んでいた。な ので、私達はもう一度、事実関係を確認することにする。 このインタヴューの一週間前、私はトム,ヨーク抜きの レディオヘッドと一日を過ごした。その際、エド,オブ ライエンは、『ヘイル.トウ籲ザ.シーフ』のレコーディ ングの間、ヨークが成り行きに任せて、あまり細かいこ とを気にしないようにせざるをえなくなった、と語った。 ジョニー,グリーンウッドも、苦労が少なくなって、さ くさく作業を進めようとする傾向があった、と言った。 彼らは今や、家族なのだ一と。「自分のやることがな くなっていくと、自然にグルーブとしてのプロジェクト とは思えなくなってくる」と、ドラマーのフィル,セル ウェイは付け加えた。 そして、これはコリン,グリーンウッドが言った言葉 だ。「まるでチーズを追いかけてるネズミになったみたい だよ。次にいつ、電気ショックがビリッと来るんじゃな いか、ってビクビクして。でも、今回は初めて、ほとん どの間、楽しかったな……まったく逆もあったけど」。 籲あなた自身、『キッド/^,[アムニージアック』のレ コーディング中の、「恐怖感みたいなものは自分に原因 があった」と言ったことがありますよね? ヨーク「まあ、それはそうかもしれない」 籲じゃあ、やっぱり、大きなブーツで歩き回ってたって ことじゃないですか? ヨーク「まあ、大きかったかもしれない……」 多分、「キッド八!のピリピリした空気は、全部彼のせ いではないのだろう。方法論が問題だったのだ一気ま ぐれにサウンドの断片を録音した後、コンピュータのハ ―ドドライヴから一枚のアルノ くムをコンパイルしていく、 という。「この前のレコーディングで' 僕らはコベンハー ゲンへ行った。自分達の音楽には雪と冷気と暗さが必要 だ、と思ってね。あれはねじ曲がった考え方だった」と、 ジョニー,グリーンウッドは認めた。「今回は太陽と温 もりだ、って言ったんだよ。それこそ、僕らがやったこ とがないものだった」。彼らは長年組んでいるプロデュ ーサ一、ナイジェル,ゴドリッチとともに、ウェス卜^ ハリウッドのオーシャン,ウヱイで2週間半過ごした。 そして、彼らなりのやり方で楽しもうとし始めた。ダイ ナ一で食事をとったり、ミニに乗ってロサンゼルスを走 り回ったり、グリフィス天文台や砂漠へ足を延ばしたり。 酔っ払った記憶は誰にもないが、オブライエンによると、 マリファナを吸ったことでセッションがよりリラックス したらしい。実際、アルバムの最初の数秒で、彼らがの びのびとやっている証拠が聴ける。ジョニー,グリーン ウッドがギターにプラグ,インしているのだ。次にヨー クが「いい始まり方だな」とつぶやくと、彼らはアルバ ムの最初の曲“2+2=5”に突入する。 !ヘイル,トウ,ザ.シーフ』のストーリ一は、昨年 の夏に始まった。半年の休暇の間、ォブライェンとジョ ニー、コリン^クリーンウッド、セルウェイにヨークか らほとんど連絡はなく、皆それぞれの自宅で過ごしてい た。するとバイク便が4人の玄関先に小包を置いていっ た。その小包の中に入っていたのはフ丁 116 0丨03⑴丨叩』 旧ロ1300ソ3丨』旧0丨亡丫0リ「卩「丨26』と題された3枚の〇0。 差出人はヨークだった一レディオへッド6枚目のアル バムのための、新しいアイディアだ。 不安を感じながら、彼らはそのディスクをこわごわブ レイヤーに滑り込ませた。「トムはこの5年、にタイ トルを付けてなかったからね」と、オブライエンは説明 する。「「0ドコンビューター』の時のテープを思い出し たよ。なんかノスタルジックだった。昔のやり方だった んだ。あれで、トムはもう一度バンドに真正面から取り 組もうとしてる、って僕には思えた」。 その中には"バックドリフツ”のようなブログラムさ れた曲のアイディアもあれば、“セイル,トウ,ザ,ムー ン”のようなピアノ,スケッチも、録音機の前でかき鳴 らしたベ一シックなギターのアイディアもあった。バン ドはエキサイトしていた。そう、ただ一人を除いては。 「あのを作った後は、どれにもほとんど何も感じなく なった」と、ヨークは言う。「もうあんまり興味がなかっ たんだ。それに対してどんな種類の感情も持てなかった、 って言うのかな。僕らがまだキッズだった頃、僕はホン 卜にそういう感じだったんだけど。曲を書くだけで、後 からためすがめつ評価なんてしなかった。だから、僕が やったのはそれ。頑張らなかったし、トライしなかった し。実際、怠けてたな」。 しかし、それこそヨークが必要としていたものだった。 過去、レディオヘッドは重い期待を背負わされてきた。 『キッド八!と『アムニージアック』が熱を込めて解剖さ れた後は、ただ彼らが「それを受け入れられる」ような 段階に到達したと感じた、と彼は言う。 父親になってから、ヨークは落ち着き、より家庭的に なった。バンドから離れ、ノアとバートナーのレイチェ ルと長い時間を過ごすようになった。息子をあやしたり、 食事の時にふいてあげたりするのは彼の仕事だった。買 い物もしたが、ガーデニングや日曜大工には一線を引い ていた。その間ずっと、彼はそれでもマテリアルを集め ていた一暗く、不吉なことで有名なレディォヘッドと いう宇宙のための素材を。彼はテレビやラジォを通じて 世界とつながっていた。「ラジオはニュースを聞くにはい いけど、中年女性が大してスキャンダルにもならない不 倫をしてるような、くだらないドラマはどうもね」。 自宅で、彼とレイチIルのベッドの隣に、彼はプラス ティックのフォルダを、レイチェルはスケッチブックを 置いていた。彼女のスケッチブックに害かれた言葉はこ うだ。「生活は整然と、そうすれば、仕事では自由で、 カオテイックでいられる」。彼のフォルダには何のタイ卜 28 81100261*^38

ふ一ん、セレプリティね。勿論、僕は自分の名声を愛してる。是非、セレブにならせていただきたいね。 素晴らしい。グレイ卜!プリムローズ,ヒルに引っ越さなきゃ……まったく。映画のプレミアに、 僕はもっと行くべきだ。だって、僕ときたら、ドレス,アップとか、そういうクソに熱中してるしさ。 それに、僕はタブロイド紙に載りたいからね!スーパーの外で、カメラマンを待つてるくらいだからさ ルも付いていなかったが、毎日の体験から集めてきた、 おかしくて不気味な言い回しが詰まっていた。「あのメ モ書きは、僕が今でもこういうことをやってる、その理 由を思い出させてくれる」と、彼は言う。 歌詞を香くためにそのメモ害きをあさった時、そこに 地獄や死、炎がたびたび出てくるのに彼は気付いた。そ う、“ウィ,サック,ヤング,ブラッド”を聴けばそれが わかる。「きみはかわいいかい?/びちびちしてるか い?/手首を縛られてるのかい?」。または、“ア,ウル フ,アット,ザ,ドア一”。「蛇と梯子が蓋をぽんと開け て爆竹をばちばち鳴らしきみの頭を叩いてきみの喉をナ イフで刺して歯を蹴るんだきみの靴の先っぽの銷鉄の部 分だけで……」。 が、そのメモは同時に一その延長線上に『ヘイル, トゥ,ザ.シーフ』が生まれた一どんどん、トム-ヨ ーク自身の、そしてノアの子供時代の断片で埋まってい った。“2+2=5”には、「王のところに行って告げるとい い/空が落ちてくるって」というラインがある。これは、 トムと弟のアンドリューが大好きだったべッドタイム, ストーリ一、卜1げ6门し1(^6门(めんどりのリッケンさ ん”から来ている。その物語では、一羽の鳥の頭にど んぐりが落ちてきて、鳥は空が落ちてきた、これを王に 告げなければ、と考えてしまう。その途中で、不安に駆 られた他の鳥達もぞろぞろついていく。すると、キツネ が鳥達に、王のところへ連れていってやろう、と持ちか ける。キツネは烏達を自分の巣に連れていき、家族と一 緒にバラバラに引き裂いて喰ってしまう。お終い。 「最後には、ただ数本の羽根が残っただけでした、っ てね」とヨーク。「がちょうのルーシーさんと、かものレ イキ一さんには、やっと自分の運命がわかりました、っ て。ハッピー,エンドにしようともしてないところが大 好きなんだ」。そう言って、ヨークは一人で大笑いする。 後まで耳に残るような笑い声だ一一かなり風変わりで、 大喜びしているのを抑えつけている感じ。「最悪なのは、 結局、空が落ちてきてるってことを鳥達が王に告げられ なかったことだよね」と、ひとしきり笑ってから、彼は 言う。「それって、僕らの生活で毎日起きてることかも しれない。伝えるべきニュースを持っている奴がつぶさ れるんだ」。この童話をレディオヘッドの世界に移動さ せると、キツネ氏は大企業の重役か、政府の大臣といっ たところだろう。そして、我々は皆、何でも真に受ける マヌケ、利用されるのを待っているバカなのだ。 “ミクサマ卜一シス”を聴いてみよう。語り手は自分 の体験と、メディアで流される現実の間の食し、違し、に取 り付かれすぎて、病的なパラノイアに陥ってしまう。ヨ ーク自身は、彼が抱いている疑念を面白おかしく語るこ とも出来る一と言っても、「卜カゲだよ……僕らは卜 カゲ達に統治されてるんだ」という発言は、真面目な説 明というよりは、デヴィッド.アイク(氺イギリスで陰 謀説を唱える人物)の徒労に対するジョークに聞こえる が。つまるところ、彼は、文句の多い、厄介なロックス ターとして見られるのにうんざりしているのだ。その証 拠が、“ミクサマトーシス”のこのラインだ。「もう生意 気なやつは誰にも好かれないけど/でもみんなスターは 好きだよな」。 「被害妄想で、ミジメ、それが僕なんだろ?」と彼。 「それが僕のお仕事。クレバーすぎる、ってやつ。でも僕 らはみんな、スターやセレプリティが大好きで……」。 今の世界に渦巻いている悪意について訊ねれば、彼は 完璧に適切な答えを返してくれる一“アイ,ウィル” という曲は、91年の湾岸戦争中の誤爆で消えてしまっ た、イラク人の家族へのビューティフルな聖歌だ、と。 だが、どこかで聞いたような答えを返してくる時もある。 たとえば、彼が明かす最大のメディア,スキャンダルは こうだ。昨年、ヨークの友達は英国閣僚のクレア.ショ 一卜の顔にプリンを投げ付けた、と。 「あれは最高だったね。クレア,ショー卜がカンカン になっちゃって」と、彼はニンマリ笑う。「カメラもそこ にいたんだよ。新聞の一面になって、チャンネル4のニ ュースになるのは確実だった」。だが、ヨークの主張に よると、政府の相談役であるアラステア,キャンべルが そのニュースを握りつぶしたと言う。「あれからもう、ず 一っと信じられないんだ。メインストリームのメディア は、政府にそうしろって言われたら、従順に事件を書き 換えるんだよ。ホン卜、喜んでそうする。アラステア-キャンべルはあちこちに電話をかけて、 「これを'流したら 次の選挙の情報源はなくなるぞ』って言えばいいんだ。 するとニュースそのものがなくなる……どこにも、まっ たくね。一般の目にはまったく触れないんだ」。 事実、『オブザーバ一』紙の政治面担当、ケイメル, アメドの証言によると、クレア.ショートにカスター ド,パイが投げ付けられたのは2001年3月、バンガ一大 学でのことらしい。これはヨークの陰謀かもしれないが、 事件は小さくではあったが、ほとんどのイギリスの新聞 で取り上げられた。おそらく、トム,ヨークが読んだ新 聞にはたまたま掲載されなかったのだろう。キャンベル 自身も、同じように当惑して、こう語る。「彼が言うよ うな状況……つまり、クレア,ショ一卜に関する事件を メディアが報じるのを私が食い止めた、というような話 はありえませんね。勿論、その方が彼の気が収まるなら それでいいんですが」。 それでもあなたは、第三世界の債務帳消しやフェア, トレードといった問題を提起するにあたって、トム,ヨ ークは少なくとも彼の名声を建設的に使おうとしてい る、と言うかもしれない。残念なことに、今回のインタ ヴュ一でそれを話し合う時間はなかった。私はトム,ヨ ークの名前を、「セレプリティ」という言葉と同じセン テンスに並べる、という戦略上のミスを冒したのだ。そ れが彼の逆鱗だったらしく、その後しばらくは、じっと 怒りの言葉を聞くしかなかった。「なるほどね。つまり、 僕がセレプリティだから、ってことだろ?ふ一ん…… セレプリティね。勿論、僕は自分の名声を愛してる。是 非、セレブにならせていただきたいね。素晴らしい。グ レイト!プリムローズ.ヒルに引っ越さなきゃ……まっ たく。ホン卜、映画のプレミアに僕はもっと行くべきだ。 だって、僕ときたら、ドレス,アップとか、そういうク ソに熱中してるし。だって、外にサンドイッチ買いに行 くためにさえ若飾ってるのにさ、誰も僕の写真なんて欲 しがらないんだ。誰もどうでもいいんだよ」 籲「セレプリティ」っていう言葉が気に入らなかったん ですね? ヨーク「いや、そうじゃなくて……僕はタブロイド紙に 載りたいからね!スーパーの外で、カメラマンを待って るくらいだから。どうして僕のこと、撮ろうとしないの かな?」 結局、オリ一ブの鉢をじっと見殺しにした後で、彼は こう言った。「今のところは、僕は自分の意見を主張し ようとしてる……今のところはね。まだみんなが僕のこ とを気にかけてるうちに」。 「トムの言うことを深刻に受け取っちゃだめだ」とエ ド,オブライエンは言う。「彼はいつも自分をすごく追い 詰めていくし、それがどんな影響を及ぼすか、気が付か ないことも多いから」。オブライエンは温かい人柄で、レ ディオヘッドの外交官だ。まるで、イギリスのおばあち ゃん協会が定める「完璧な青年像」に合わせて作られた よう一ジーザスのような美貌で、長身、そして、礼儀 正しいことこの上ない。普通の仕様の建物では、エド, オブライエンの背丈は天井に届くほど。が、私達が会っ たのは1666年に建てられたオックスフォードのパブだ ったので、彼の頭は屋根を突き抜けそうだった。2年前 に彼はオックスフォードを出て、ロンドンへ引っ越した。 「一生オックスフォードにいるわけにはいかないさ」と、 彼はイタズラっぽく言う。 「俺は普通の男だよ」と、彼は教養のある口調で言う。 オブライエンは長年のガールフレンドとイズリントンで 暮らしていて、一服するのと、仲間とオールド,トラッ フォード(本マンチェスター.ユナイテッドのホームグ ラウンド)に行1 くのが好き。3年前、彼はコリンとフィ ルとともにグラミー賞授賞式に行った。結局3人でつる むだけで、うわべだけのイヴェン卜に辟易するんじゃな いか、と考えたオブライエンはマッシュルームをひとつ かみ喰って、その体験をより興味深いものにしようと決 'こ、した。「オックスフォードから持っていったんだ。棄暗 らしかったよ。いや、ダメだな。持ち込んだ、っていう のは変えてくれ!向こうで手に入れたんだ!俺のファッ キン-ヴィザが出なくなる!」。 それは、世界の終末に開かれるようなパ一ティだった。 向こう側ではヒュー,ヘフナーがブレイボーイ,バニ一 51100261^038 29

達をはべらし、こちら側にはボノがいる。「「めちゃくち ゃ嘘臭いな』って言うべきだろ?ところが俺は、クソ すごい夜を楽しんだんだ!」。オブライエンは間違いなく バンドに忠実だが、自分がはみ出し者であることも自覚 している。「サッカーが好きな奴もいるし、そうじゃない 奴もいる。クロスワードが好きな奴もいるし、そうじゃ ない奴も……いる」。妙なことに、コリン,グリーンウッ ドは、オブライエンが2年前、ロンドンの北のイズリン トンに引っ越した理由は、愛するアーセナルから遠くに いることが耐えられなかったからだ、と言った。かなり 情熱的なフアンなんですね、と私が言うと、「アーセナ ル?よしてくれよ!誰がそう言ったって?コリン?」 と、彼は吐き出す。「俺はオックスフォード-レッドのサ ボーターだよ。あとマンチェスター,ユナイテッド。(コ 一ルドプレイの)クリス.マーティンが、レデイオへッ ドはロックのレアル,マドリッドだ、って言ったらしい が、俺からすると、俺達はユナイテッドだね」。 ギタリストのオブライエンにとって、『キッドん1は、 自分のエゴを殺せるかどうかのまたとないチャレンジだ った。「まあ、本当に正直言って,自分のオモチャを 取り上げられた時の気持ちは、誰でも一度は味わってみ るべきだね」。だが、再びエレキ,ギターにプラグ,イン する、というアイディアを、彼はかなり気に入っている。 「レディオヘッドのフアンとして、一番最後に聴いたの が『アムニージアック』だろ?……正直な話、俺はあの アルバム、あんまり好きじゃなくて。今回はエナジーが ある。そんなに頭デッカチじゃなくて、よりフィジカル なんだよ。こういうバンクっぽい、若いエナジーがある のは、『ベンズ』以来、初めてじゃないかな」。 振れ幅のもう一方の極が、コリン,グリーンウッドだ。 私達は羽目板張りのティールームでランチをともにした が、周りにいるのは手がぶるぶる霖えているようなお年 寄りばかり。そして、奇妙なことに、レディオヘッドの ベース,プレイヤーは、そこにいてまったく場違いでは ない。自分のフォルクスワーゲン,ゴルフが駐禁になら ないように見張りながら、さっき段ボールをゴミ捨て場 に持っていったところだ、と彼は言う。か細く震えるロ 調は、まるで風変わりな親戚のおばさん、と言ったとこ ろ。「ああ、まあね、その……うん、段ボールとか、箱と か。実際、そうね、まあ……プロセスをホン卜に楽しん だよ……またバンドにいる、ってことの。ロックしたん だ!」。ケンブリッジで文学士を取った脳みそが、その大 きな頭の中には入っている。支えているのはガリガリに 瘦せた体。一方、大きな目は、まるで誰かが彼の酸素供 給を止めたように見える。グリーンウッドの服装が、「僕 は目が見えない」と言っているのか、それとも「服なん てどうでもいい」と言っているのかは判断に苦しむとこ ろ。何せスクール,力一ディガンにウィングカラーのシ ャツなのだ。貴重品は、彼が終始、手放さないスウェー ドのショルダーバッグに入れられている。64年にツイッ ギーがぶらぶらさせていたような一品だ。 そして、インタヴューの間ずっと、ウェイターは彼の 溶鉱炉のような食欲を満たすべく、忙しくテーブルとキ ッチンの間を行き来した。1時間の間に、彼はメインコ ース2品とプディングを食べたのだ。2002年の休暇の間 に、彼がベーキング(お得意は「かなり上手にプラム, バイが焼けるよ。65年のジェーン,グリグソンのレシピ なんだ」)と、ガーデニングの授業を受けていたと聞いて も、私はもう驚かなかった。グリーンウッドはロックン ロールのすべての法則に反抗していて、だからこそ、ロ ックンロールだ。だが、最後に、この友好的なおしゃべ りこそが戦略なのではないか、と考えてしまう。「コリン は、僕らが嫌がるような連中とも話してくれるんだ。僕 らの秘密兵器だよ」と、ヨークは過去発言している。 ドラマーのフイル-セルウェイは、とてもシャイで、 品位がある。彼と会ったのはホテルのロビーで、自分を 落ち着かせるためにごくごく水を飲んでいたが、タフな 質問はさらに喉を乾かせているようだった。 彼は半年の休暇を、妻と3人の子供達と一緒にオック スフオードの自宅で過ごした。時間が出来ると、サマリ タン教会で電話相談を担当した。そして、トム,ヨーク からの小包が届いた時、“バックドリフツ”や“ザ.グロ 一ミング”のようなエレクトロニックな曲に自分がまっ たく参加しないだろうとはわかったが、彼にとって、そ れでもこれがまだバンドである、と感じるには十分だつ 30 81100261*^38

僕らは一度、それ(あらゆる種類の期待)を手にしてた……だろ?もう歳なんだよ!僕らには、 それが一度起きた。それはそれでグレイ卜だよ。でも、毎回、ケン力を吹っ掛けるのに疲れたんだ。 大層なステートメントをプチ上げるのにね。みんな僕らに、あるひとつのものになって欲しがる、 そんなプレッシャーがある。でも、そういうアルバムは作つたしね。もうプレッシャーは沢山なんだ たと言う。アビンドン,スクール時代、彼はコリン,グ リーンウッドの個人指導教師の一人だった。コリンとヨ ークは「明らかに際立っていた」と彼は感じ、二人がや っていたグルーブ、オン.ア,フライデイに参加する。 当時、彼らが目指していたのはオレンジ.ジュース、 リ2、または、エコ一及バニーメンだった。一時期、バン ドには女の子が二人参加していて、サキソフォンを吹い ていた。「僕ら、男子高出身の若い男だったからね。勿 論、エキサイティングだったよ。今でもシャーロッ卜と は連絡を取り合ってる。でも、彼女が今住んでるところ を、僕が言ったりするのは嫌がるんじゃないかな」。 そして、最後に、ジョニー,グリーンウッドだ。当時、 彼はヴィオラを弾く13歳の学生だったが、兄のコリンが ヨークに、ジョニーもバンドでハーモニカを吹けるんじ ゃないか、と説得した。「僕はオーケストラにいる子供 で……わかるよね。でも、コリンがすごくブッシュして くれたんだ」。彼は大学で音楽と心理学を専攻したが、8 週間で中退。今でも、彼の母親は、ジョニーが教育をふ いにしてしまったのではないかと心配している。唯一楽 譜を読み、ギターとキーボードをブレイする人物として、 ジョニーの仕事は、ヨークのスケッチを形にし、うまく いかせることだ。重箱の隅をつついてあらを探すような オブセッションに関しては、ジョニー,グリーンウッド の方が自分を上回ることさえある、とヨークは考えてい る。多分、それはこんな発言に表れているのだろう。 「僕は絶対に、もう『0ドコンピューター』は聴かない。 我慢出来ない曲が1曲あるんだ。どれかは言わないよ。 他のメンバーをガッカリさせちゃうから。でも、その曲 はそこにあって、これからもずっとあり続けるんだ」。 休暇の間に、彼はまだ公開されていないイギリス映画 旧00!乂5009』のサウンド卜ラックを作曲した。ダイア ローグがない、科学的な記録映像~烏や花や群衆一 をつないだ1時間半の作品だ。「エドに、もっとちゃんと 休まなきゃだめだ、って言われるんだよ」と、彼は屑を すくめる。「多分、その通りなんだろうな」。 彼がリラックスすることがあるとすれば、それは 『只0111101 7^10 40「门6』やケネス,ウイリアムズをフィ 一チャ一したリ51バ1^||1リ16」のような50年代の 860のラジオ番組を聴いている時だろう。だが、いつか、 ジョニーはヨークと腰を下ろして、「ヘイル-トウ,ザ, シーフ』の最後の曲であり、素晴らしい歌詞のついた “ウルフ,アット.ザ-ドア一”について訊ねてみたいと 思っている。いろんな言い回しを集めたノートを開いて、 あの曲の華麗で、敵意に満ちた言葉の乱射を構築した時、 ヨークはラガのフリースタイルの00を聴いていたと言 う。「ビューティフルな曲だよね。なのにトムが、こう叫 びだすんだ。「踊れよ、ファッカ一/カオにブリン』って」 と、ジョニーは笑う。「だって……ファンタスティックだ けど、一体何のことなんだ?」。 ヨークによる、クレア,ショー卜事件の地を揺るがす ほどではない暴露の後では、それが何のことか、あなた にも予測は付くだろう。これだけは明らかだ一あなた は大量輸送機関を使おうとしたり、企業に電話をかけて 人工合成の声による案内を聞いたり、エアーバッグのサ インを見たり、サンドイッチの真空/トンクを開けたりす るたびに、卜厶,ヨークの沈痛な歌声を思い出して、自 分がいるのがどれほど未来のない、悪意に満ちた世界か に気付くだろう。 5 おそらく重要な質問は、トム,ヨークが、これ以上、 ムンクの「叫び』に描かれたような人物を演じられるの かどうか、ということだろう。ノアが生まれたことで自 分が変わったのを彼は認める。3時間眠った後で子供の 世話をすることで、本当に大切なのは何か、という歓迎 すべき認識が生まれた、と。自分の父親が何を職業にし ているかさえ、ノアはまだ知らない一と彼は言う。 「自分は世代を代表する声だ、って言えばいいじゃな いですか」と、私は冗談を言った。ヨークは、薆耨げに、 「うん……以前はね」と答える。そして、ほとんど上の空 で、彼はこう言った。「僕は自分達のレコードはどれも 聴かないんだ。その必要がない時は。僕、コードを忘れ ちゃってるから、ツアーの前には聴くかもしれない。そ れはまあいいんだよ。ライヴでやるのは、曲をもう一度 再生させるようなことだから。それでも、聴くのはひど く辛いね。前のレコードを聴くたびに吐き気がして、止 めなきゃいけなくなる」。 つねにクリエイトし、前進し続ける傑出した才能が、 ただ正直に事実を語っているようにも聴こえる。が、そ こには、ヨークがジャーナリストも一~そして、おそら くはフアンも一やはり前進するべきだ、と考えている 響きもある。そして、もう彼には翮い統ける気力がない かもしれない、という含みさえ感じられる。そう、ヨー クはついに、自分を切り離してしまった一プレスから、 そして、あらゆる種類の期待から。 「僕らは一度、それを手にしてた……だろ?もう歳 なんだよ!僕らにはそれが一度起きて、頂点があって、 それはそれでグレイ卜だよ。でも、今は、僕はただ毎回 ケン力を吹っ掛けるのに疲れたんだ。大層なステートメ ン卜をブチ上げるのにね。みんなが僕らに、あるひとつ のものになって欲しがる、そんなブレッシャーがある。 でも、僕らはあるアルバムを作って、それは今もそこに あるしね。もうプレッシャーは沢山なんだ。何も目指し たりはしていない」。 この彼の新たな、禅的なアテイテュードに觫れると、 自分の作品が盗まれるのにヨークがこれほど敏感である ことは奇妙に思える。そう、[ヘイル,トウ,ザ.シーフ』 が3月、ネット上に流出した時、彼は怒ったのだ。「もう 全部台なしだ、って感じだった。全部、下水管に流れち ゃった、ってね」と彼は言う。そして、やはり、作品を クリエイトした瞬間に、それを処分してしまうような、 アンチ企業のアジテーターが、マス.マーケットのため にわざわざそれをレコーディングするのも妙な話だ。レ ディオへッドが日^/IIと交わした、アルバム6枚の契約は 完了した。もしトム,ヨークが框のドアによりかかれば、 その鍵が外れているのに気付くだろう。 癱&VIIとは再契約しますか? ヨーク「多分、ロビー.ウィリアムズを見習うべきだろ うな。(彼のマンチェスター訛りを真似て)もっちろん。 クソッ、8千万ポンドふんだくって、レコードは一枚も 作らないぜ!……と、これが正しいやり方なのさ。丸もう け出来る。僕はそうしたいね。まったく仕事をせずに、 現金が濡れ手に粟。まったく、うまい話だろ?」 籲でもあなたの政治性を考えると……。 ヨーク「政治性か……この言葉を変な風に使うんだな」 籲あなたはアンチ企業のスタンスをとってきました。こ れだけ影響力のあるバンドが、先陣を切ることが期待さ れているかもしれない。インターネットを通じて、自分 でアル/《厶を売ればいいじゃないですか? ヨーク「それが問題の中心だとは思わない。他にもある んだよ。僕らは進みながら、気が付いたことを畜き留め ていってる。二度とやっちゃいけないことをね」 糊えば? ヨーク「それは今は言えない。準備が出来たら話す、っ て前にも言ったし。言えることが出来たら、言うよ。そ ういう話ってほとんどが、顔とケツが逆になってるんだ。 それより、業界の成り立ち方そのものが正しくない。意 味を成してないんだ。レコードを別にしても、クリア, チャンネル(氺アメリカのラジオとヴェニューを支配す る巨大コングロマリット)があるし。連中はブレイ出来 るスベースのすべてを所有してて。カルテルで、連中が 独占してるんだ。僕らはそれにケン力をふっかけたくな かった。何も変わらないからね。そう、すべてが下水管 に流されて、ダメになっていってるんだよ」 インタヴューが終わると、ヨークの顔は明るくなり、 ほとんど陽気にさえなった。立ち上がりながら、鼻歌を 歌っている。「日3叩リ33』の歌だと彼は言い——また、 “ドコデモナイ国のヤセコケ王”だ一調べてみるべき だよ、と私に告げる。実際、調べてみると、その物語は こうだった。気難しい年寄りの王様は、冷たい石で出来 た王座を嫌って、苦しみ続けた。ネズミ達が羽根を持っ ていったり、ハンモックを差し出したりした後でさえ。 ついに困り果てたネズミ達は、彼のために絹のクッショ ンと金襴をこしらえた。そして、最後には、結局、ハッ ピー.エンドが待っている。「そして幸せになったドコデ モナイ国の王様は,王座に座ってニッコリしました/そ の微笑みはバラ色で、座り心地は最高でした/彼の王座 は石ですが/ネズミ達がすごく素敵にしてくれました/ 彼は今や、幸せな王様!」。 0 51100261*^38 31